偏見差別相談事例

患者さんやご家族から寄せられた
実際の相談事例を紹介しています。

これから介護の仕事をしようと思っているが、施設にB型肝炎のことは伝えるべきか。

就職
ご相談者: B型肝炎の患者さん
A1回答1

就職に際して、相談者は、B型肝炎キャリアであることを告知する必要はありません。また事業者は、ウイルス検査をしてはいけません。それを理由として内定を取り消したりすれば違法となります。また、採用の時にB型肝炎キャリアであることを告知せず、後にそれが発覚したときに内定を取り消されないかご心配になるかも知れませんが、仮に雇用者が、それを理由として内定を取り消したりすれば違法となります。

A2回答2

介護施設で肝炎患者を不採用にする事は、法的にも許されない事です。まして事務職だと血液に触れる機会もありません。また、B型肝炎のマーカ―であるHBs抗原陽性と伝える必要もありません。しかし残念ながら、同じような経験を持つ方はほかにもおられました。もし同じようなことが起きたら、主治医の診断書を提出して理解を求めてはいかがでしょうか。

更に深く知りたい方に①

B型肝炎やC型肝炎そしてHIV感染などの血液媒介性感染症を有する者を雇用することに関して法的な考え方について御紹介します。

HIV感染症に関する事例ですが、近時、次のような判決が出されました。すなわち、採用手続きにおいてHIV感染の事実を告げる義務があったとはいえないとし、採用時の面接において持病の有無を問われた際にHIV感染の事実を告げなかったとしても、これを理由とする内定取消については、客観的に合理的な理由が存在し社会通念上相当として是認することができる場合に当たるということはできず、内定取消は違法であり、不法行為に該当するとした裁判例です(札幌地方裁判所令和元年9月17日判決)。

B型肝炎の場合も、この裁判の事例と同様に考えることができます。採用時にB型肝炎キャリアであることを伝えず、後にそれが発覚したとしてもそれを理由として内定を取り消したりすれば違法となります。

この裁判の中で、被告の病院は「認知症患者等からの暴力により職員が出血を伴う傷を負う事件は稀ではなく、高度の感染防止対策をとる必要があるからHIV感染の事実を確認する必要があった」と主張しましたが、裁判所は、「医療機関においては、血液を介した感染の予防対策を取るべき病原体はHIVに限られないのであるから、被告病院においてもHIVを含めた感染一般に対する対策を講じる必要があり、かつ、それで足りるというべきである。」として被告病院側の主張を排斥しました。

介護施設においても標準予防策を取ることが要請されており、血液媒介感染予防策も求められていることから、本相談事例についてもこの裁判の事例と同様に考えることができます。

更に深く知りたい方に②

米国では医療従事者が、B型肝炎キャリアやC型肝炎キャリアの場合、患者さんへの感染を防ぐために外科手術をすることをできるだけしないようにということがアメリカ公衆衛生学会からガイドラインが示されていました。しかし、最近、ウイルスが排除された場合(C型)、ウイルス量が抑えられている場合(B型)はそのような制限はしなくてもよいという方針に変更されています。

このサイトは「ソーシャルメディア等を活用した肝炎ウイルス感染者の偏見差別の解消を目指した研究」の研究班により運営されています