偏見差別相談事例

患者さんやご家族から寄せられた
実際の相談事例を紹介しています。

介護施設に入居するため問い合わせたら、4か所で肝炎の方は受け入れられないと言われた。 核酸アナログを何年も服用し、HBV DNA検出せず※の状態で、医師にも感染のリスクはないと言われている。肝炎への理解が進んでいないことに呆れた (※HBS抗原陽性でHBV DNA検出せず)

介護施設
ご相談者: B型肝炎の患者さん

このテーマについて、様々な立場の有識者が討論されている内容をご覧いただけます。スピーカーの発言の行間から、このテーマに根差す深い課題を共に感じて頂ければ幸いです。

元患者A

介護施設を探してるんだけど断られるという報告をお電話いただいていて、介護施設の方に私たちの方から何かご連絡しようかということをご提案しましたが、そういうことは望まれず、5件目に入居することができたという事例です。4か所で断られるというのは稀ですが、断られるというご相談は他にもあります。

司会

介護施設というのを皆さん必要になった時にどこに入居したらいいのかというのをご検討されると思います。例えば、自宅の近くがいいとか、費用はこれぐらいのところでとか考えられる。よくあるのがネットで介護施設の検索をできるサイトがいくつもあります。私もそういうネット上での介護施設の案内をいくつか見てみたんですけど、肝炎の方は受け入れません、という施設もありました。ほかの病気、感染症で例えば乾癬とかMRSAとかとならんで肝炎が入っていてかなり違うんではないかと思うんですけど、そういう形で最初から肝炎の方を受け入れないという施設もありましたし、一方で肝炎受け入れますよと明記している施設もありました。

医療従事者B

10年以上前に厚労省から高齢者施設における肝炎対策のガイドラインを作ってほしいという要望があってガイドラインを作りました。日常生活でこんなことでは感染しない、もし嚙まれたところで出血しても患者さんの唾液から感染するということはまずないわけですから、よほどのことがない限りは心配ないですよ、とお伝えしています。ただ冒頭でお話したように、なかなかそういったことが皆さんたちに広まっていかないということがあってこういった事例が生じているんだと思います。

元患者B

医療従事者B先生が仰ったガイドラインはとても分かりやすく書いてある冊子です。介護施設にこの冊子がどれくらい置いてあるんだろうかとか、現状で実態が分からないと思うので研究班としてぜひガイドラインを有効活用していただきたいと思います。

司会

会場の方からのご質問で、「⽇常⽣活で例えば、⾎液(B肝)がタオルに付着した場合、通常の洗濯乾燥で⼤丈夫ですか。かさぶたからの感染はないか。」これ多分介護施設でもお尋ねがあるかと思うんですがこれについてはいかがでしょうか。

医療従事者B

この問題は新型コロナで問題になりました。同居家族がコロナに感染をした時にその人の寝巻とかタオルとかをどうすればいいんですかという大きな問題があって、それに関してはマニュアルで何と書いてあるのかというと、唾液がつけばコロナでは感染性のあるウイルスがついてますから、この場合は他のとは別に、いわゆる塩素系のピューラックスとかハイターでもいいです。塩素系のものをきちっと決められた濃度に薄めていただいてそこに15分から30分つけおきしてください。そしてウイルス自体を消毒してしまって感染性のない形にしてから水洗いをしてその後ふつうに洗濯をしてくださいと書いてあります。肝炎に関しても本当に感染性のあるもの、例えば未治療の患者さんの血液が沢山ついてしまったようなタオルがもしあったとしたら、今申し上げたようなやり方で洗っていただきたいんですけど、例えばそうではない、汗がついたようなタオルとかそういったものに関してはまったく普通に洗っていただいて構いません。それが他の方の衣服についてそれでさらに感染するということはありえないです。かさぶたも目にみえるような血液の付着がなければ感染性がないと考えていただければいいと思います。

スピーカー紹介
八橋 弘先生
八橋 弘先生

国立病院機構長崎医療センター 院長。肝臓内科が専門。「様々な生活の場における肝炎ウイルス感染者の人権への望ましい配慮に関する研究」の研究班代表。

四柳 宏先生
四柳 宏先生

東京大学医科学研究所 教授。元は消化器内科が専門であったが、現在は感染症という切り口から肝炎を診ている。

米澤 敦子氏 (司会)
米澤 敦子氏 (司会)

東京肝臓友の会 事務局長。東京肝臓友の会では,日々電話相談窓口を設けて患者,家族の方から電話相談を受けており、今回の事例もその相談の一部です。

中島 康之先生
中島 康之先生

全国 B 型肝炎訴訟大阪弁護団弁護士。弁護団弁護士として主に肝炎患者さんの支援などを担当。

梁井 朱美氏
梁井 朱美氏

全国 B 型肝炎訴訟九州原告団。現在慢性肝炎を患いながらも,抗ウイルス薬でウイルスをコントロールしながら活動。

及川 綾子氏
及川 綾子氏

薬害肝炎全国原告団。東京肝臓友の会で電話相談を手伝っている。

浅井 文和氏 (司会)
浅井 文和氏 (司会)

日本医学ジャーナリスト協会会長、元朝日新聞編集委員。ジャーナリストとして肝炎の記事を数多く執筆。

是永 匡紹先生
是永 匡紹先生

国立国際医療研究センター・肝炎情報センター 肝疾患研修室長。消化器・肝臓内科が専門。

磯田 広史先生
磯田 広史先生

佐賀大学医学部附属病院・肝疾患センター 助教。肝臓が専門。普段は「なんでも相談窓口」を担当している相談員も兼務。

このサイトは「様々な生活の場における肝炎ウイルス感染者の人権への望ましい配慮に関する研究」の研究班により運営されています